2026/02/13
「正解」を探す思考が、自分の感覚を上書きしている
――正解かどうかを考えずに選んだ経験の中で、
あとから振り返って“悪くなかった”と思えるものは何があるだろう?
何かを選ぶとき、
「これで合っているだろうか」
「間違っていないだろうか」
と考える癖が、いつの間にか身についてはいませんか。正解を探すことは、安心につながります。
誰かに責められないため。
失敗しないため。
後悔しないため。けれど、人生を振り返ったとき、
ふとこんな記憶が浮かぶことはないでしょうか。
あのときは、よく考えずに選んだ。
正解かどうかなんて、わからなかった。
でも、あとから思えば——悪くなかった。
その経験は、
あなたの中にまだ息づいている「感覚の記憶」かもしれません。
1.「正解を考えなかった選択」は、無責任だったのか
正解を考えずに選んだ経験を思い出すとき、
少し後ろめたい気持ちが出てくる人もいます。
「たまたまうまくいっただけ」
「本当は、ちゃんと考えるべきだった」
そうやって、
自分の選択を小さく見積もってしまうこともあるかもしれません。
でも、その選択は本当に、
無責任だったのでしょうか。
それとも、
思考よりも先に、あなたの感覚が動いた瞬間だったのでしょうか。
2.感覚で選んだものは、派手ではない
感覚で選んだものは、
ドラマチックではないことが多いです。
・なんとなく入ったお店
・深く考えずに引き受けた出会い
・理由はないけれど続けてきたこと
当時は、
「これが正解だ」と言える根拠はなかったかもしれません。
けれど時間が経ってから、
「悪くなかったな」
「自分には合っていたな」
と、静かに思える。
それは、
正解ではなく、納得だったという感覚です。
3.なぜ「悪くなかった」と思えるのか
感覚で選んだ経験が、
あとから「悪くなかった」と感じられるのは、
そこに無理がなかったからです。
頑張りすぎていなかった。
自分を押し殺していなかった。
説明する必要もなかった。
その選択は、
あなたの内側とズレていなかったのです。
正解かどうかよりも、
自分の感覚と一緒にあった選択。
それは、結果が完璧でなくても、
心に大きな後悔を残しません。
4.「正解を選ばなかった自分」を、評価し直す
これまでの人生で、
あなたはきっと「正解を選ぶ自分」を高く評価してきたと思います。
慎重で、賢くて、
失敗しないように考えられる自分。
でも、ここで少しだけ、
別の視点を加えてみてください。
正解を考えずに選んだ自分は、
どんな状態だったでしょうか。
少し力が抜けていた。
誰にも見せなくてよかった。
自分に嘘をついていなかった。
その自分も、
あなたの大切な一部です。
5.感覚は、あとから意味を持つ
感覚で選んだとき、
その瞬間には意味がわからないことが多いものです。
「なぜ選んだのか」
「どこが良かったのか」
説明できなくても、問題ありません。
感覚は、
あとから振り返ったときに、意味を持つことがあります。
あの選択があったから、
今の自分がいる。
そう思える日が、
静かにやってくることもあります。
6.よくある心のQ&A
Q1.感覚で選ぶと、失敗しそうで怖いです。
A.
怖さがあるのは自然です。
だからこそ、まずは「失敗しても影響の小さい選択」からで大丈夫です。
Q2.あとから「悪くなかった」と思えた経験が思い出せません。
A.
今はまだ、思考が前に出ているだけかもしれません。
時間をかけて振り返ると、小さな記憶が浮かんでくることがあります。
Q3.感覚で選んだ経験は、評価されません。
A.
評価されなくても、あなたの人生にとって意味があることはあります。
人生は、評価だけでできてはいません。
Q4.正解を考えないと、不安になります。
A.
不安は、正解があなたを守ってきた証です。
無理に手放さなくて大丈夫です。
Q5.今からでも、感覚で選ぶことはできますか?
A.
できます。
感覚は失われていません。
ただ、静かに待っているだけです。
7.人生の終わりに、どんな選択を思い出したいか
人生を振り返るとき、
私たちは「正しかった選択」だけを思い出すわけではありません。
理由はわからなかったけれど、
なぜか大切だった選択。
うまく説明できないけれど、
自分らしかった時間。
そうした記憶が、
人生の温度をつくります。
8.カウンセリングという、感覚を確かめ直す場所
もし、
正解を考えすぎて疲れてしまったときは、
カウンセリングという場も、
ひとつの選択肢です。
カウンセリングは、
正しい答えを探す場所ではありません。
「悪くなかった」と感じた感覚を、
安心して確かめ直す場所
言葉にならなくてもいい。
理由がわからなくてもいい。
あなたの感覚が、
もう一度息をし始めるのを、
そっと待つ時間です。
どうか、ひとりで抱えすぎないでください。
Amazing Grace
内田梓