自分の本音を抑えるクセ 〜 “言えない気持ち”を安全に取り戻すためのやさしい手引き〜

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自分の本音を抑えるクセ
〜 “言えない気持ち”を安全に取り戻すためのやさしい手引き〜

*はじめに

「本当は違うのに、笑ってやり過ごしてしまう」
「断りたいのに、つい『大丈夫です』と言ってしまう」
「場が乱れないように、黙って合わせることが多い」

——そんな自分に、胸が少し痛むことはありませんか。

それは弱さではなく、関係を大切にしてきた優しさの現れです。
ただ、その優しさが長く続くと、自分の声が聞こえにくくなることがあります。
この記事では、「本音を抑えるクセ」が生まれる心理の理由をやさしくほどき、
今日から実行できる具体的な練習をステップでご案内します。

1.なぜ本音を抑えてしまうの?(心理の理由)
(1) “安全”を守るための学習

幼い頃の経験(反論すると叱られた、泣くと嫌な顔をされた等)があると、
「気持ちを出さない=安全」を体が覚えます。
その学習記憶が、大人になっても自動的に作動します。

(2) “いい人”でいたいという信念

「迷惑をかけてはいけない」「我慢は美徳」という思いは、
周りへの配慮を育てる一方、自分の領域を曖昧にしやすくします。

(3)言語化の練習不足

感情には名前をつけると整いやすくなりますが、
その言語化の練習機会が少ないと、
「何をどう伝えたらいいのか」がわからず沈黙を選びやすくなります。

(4)敏感さ(HSP傾向など)

表情・声色・沈黙から相手の感情を深く受け取りやすい人ほど、
相手の気持ちに“飲み込まれ”、自分の声が後ろに下がってしまいます。

🔎小さな理解
あなたの“沈黙”は身を守るための知恵でした。
だから責めなくて大丈夫。ここから**「安全に声を取り戻す」**練習を重ねていきましょう。

2.本音を抑えているときの“心と体のサイン”チェック

返事をした直後、胸がきゅっと縮む/呼吸が浅い

家に帰るとどっと疲れる、横になりたくなる

断ったのに強い罪悪感が残る、反すうしてしまう

予定を入れたのに、当日が近づくと重く憂うつ

「よくわからないけどモヤモヤ」が続く

2つ以上当てはまるときは、本音と行動のズレが起きているサイン。
体のサインは、心からの**「気づいてほしい」**という優しい合図です。

3. “安全に”本音を取り戻す3ステップ
🌿 ステップ1:違和感キャッチ(観察の練習)

1日3回(朝・昼・夜)、30秒だけ自分に質問します。

「今、体のどこがどう感じてる?」(呼吸・肩・お腹)

「この選択は、私の“したい”? それとも“しなきゃ”?」

「私の中に**小さな“NO”**はない?」

✅理由:感情は“気づかれると落ち着く”。
名前をつける(例:悲しい・疲れた・怖い)だけで、脳の緊張がやわらぎます。

🌸 ステップ2:ミニ表現(1文で伝える)

いきなり全部を語る必要はありません。**“1文だけ”**の練習から。

「いったん持ち帰って考えたいです」

「今日は体力に余裕がなくて」

「今の私には、少し難しそうです」

✅理由:短い文は安全感を保ちやすく、相手にも伝わりやすい。
“事実+自分の状態”で言うと、角が立ちにくくなります。

🌼 ステップ3:やさしい境界線(バウンダリー)を描く

“配慮のことば”+“自分の希望”の二段構えで。

「お声がけ嬉しいです。ただ今週は休息を優先したいです」

「お気持ちはわかります。今回は見送らせてください」

「手伝いたい気持ちはありますが、今は自分の課題を優先します」

✅理由:相手への敬意を保ちつつ、**自分の領域(時間・体力・気持ち)**を守れる。
これが“我慢しない優しさ”です。

4. “言いやすくなる”ミニ台本(状況別)

仕事で依頼を受けたとき

「ご依頼ありがとうございます。今あるタスクを確認してからお返事します(◯日◯時までに)」

「対応したい気持ちはあります。優先度と納期を相談できますか?」

友人からの誘い

「誘ってくれて嬉しい。今は疲れが溜まっているから今回は見送るね」

「別の日なら行けそう。◯日か◯日はどう?」

家族へのお願い/断り

「あなたの望みは大事にしたい。私の体力が戻る明日なら手伝えるよ」

「今は一人の時間が必要。30分後に話そう」

✅理由:具体化(期限・代替案)は相手を安心させ、**関係を守る“断り”**になります。

5.7日間の“やさしい練習”プラン

1日目:チェック表(セクション2)で“体のサイン”をメモ

2日目:1日3回の30秒観察(ステップ1)

3日目:「1文表現」を1回だけ実践(ステップ2)

4日目:ミニ台本から1つ選び、鏡の前で練習

5日目:実際に低リスクな場面で伝えてみる(家族・親しい人)

6日目:うまくいった・難しかった点を3行日記で振り返り

7日目:自分をねぎらうケア時間(温かい飲み物・散歩・早寝)

✅理由:小さな成功体験を積むと、脳は**「言っても大丈夫」**を学習し直します。

6. “抑えてきた気持ち”が出てきた時のセルフケア

呼吸:4秒吸って、6秒吐く×5回(吐くほうを長く)

グラウンディング:足裏の感覚に注意を向け、椅子の支えを感じる

タッピング:鎖骨の少し下をトントン叩き「大丈夫、今は安全」と自分へ一言

書く:A4用紙に“今の気持ちを3行だけ”

✅理由:身体感覚から安全をつくると、言語化がしやすくなるため。

*よくある心のQ&A

Q1. 本音を言うと相手を傷つけそうで怖いです。
→ 伝え方が鍵です。
「責めたいわけではない」「関係を大切にしたいから正直に話すね」など意図の明示+具体的事実で、感情ではなく状況を共有すると受け取られやすくなります。

Q2. 罪悪感が強くて、言った後に落ち込みます。
→ 罪悪感は“これまでの学習”の名残。
言えた自分に事実ベースの称賛を:「私は今日、1文だけ伝えられた」。
脳はこの“安全な成功”を学び、次が楽になります。

Q3. そもそも自分の本音がわかりません。
→ 快・不快リストを作りましょう(食べ物、音、匂い、時間の使い方など10個)。
“生活の小さな選好”から、自分の軸は再び見えてきます。

Q4. 相手が不機嫌になるのが怖くて、結局合わせてしまいます。
→ 不機嫌は“相手の感情”であり、相手の領域。
あなたは「敬意をもって自分の状態を伝える」までが責任です。
時間を置き、落ち着いたときに事実と希望を再提示すると建設的です。

Q5. 言おうとすると涙が出ます。どうしたら?
→ 涙は回復のサイン。
長く抑えてきた気持ちが“安全だ”と判断したときに流れます。
深呼吸→タッピング→3行日記で“今ここ”に戻り、責めずに休みましょう。

*おわりに:やさしさを、我慢ではなく“力”へ

あなたの沈黙は、あなたなりの生き延びる知恵でした。
だから、過去のあなたを責める必要はありません。
これからは、そのやさしさを自分にも向けていきましょう。
本音を安全に少しずつ取り戻すほど、関係は深く穏やかになっていきます。

🌷カウンセリングという“安心のプラットフォーム”

安全に話せる場があると、本音は自然に芽を出します。

ことばにならない感情も、一緒に丁寧に言語化していきます。

「言っても大丈夫」という新しい体験が、あなたの毎日をやさしく支えます。

「本音を出すと、関係が壊れそうで怖い」
「相手の表情が気になって、言葉が消えてしまう」
——そんなときこそ、どうかひとりで抱えずに。
Amazing Grace は、あなたのやさしさが“力”に変わるお手伝いをします。

💫 今日の小さな一言

「私は、私の本音をやさしく扱っていい。」