「正解」を探す思考が、自分の感覚を上書きしている 私はいつから“正しさ”を優先するようになったのだろうか?

  • HOME
  • ブログ
  • 「正解」を探す思考が、自分の感覚を上書きしている 私はいつから“正しさ”を優先するようになったのだろうか?

「正解」を探す思考が、自分の感覚を上書きしている

私はいつから“自分の感覚”よりも“正しさ”を優先するようになったのだろうか?

何かを選ぶとき。
誰かに何かを伝えるとき。
自分の気持ちを言葉にしようとするとき。ふと立ち止まって、
「これは正しいだろうか」
「間違っていないだろうか」
と考えてしまうことはありませんか。本当は、胸の奥で何かを感じているはずなのに、
その感覚に触れる前に、
頭の中で答え合わせを始めてしまう。もし、そんな自分に気づいたことがあるなら、
それはあなたが慎重で、誠実で、
「間違えないように生きること」を大切にしてきた人だという証です。けれど同時に、こんな問いも浮かんでくるかもしれません。


私は、いつから
“自分の感覚”よりも“正しさ”を
優先するようになったのだろうか?


1.「正解」を探すことは、あなたの賢さだった

まず、はっきりとお伝えしたいことがあります。

「正解を探す癖」は、あなたの欠点ではありません。
それは、あなたが身につけてきた知性であり、賢さでした。

正しく理解しようとする力。
空気を読む力。
場にふさわしい言葉を選ぶ力。

それらは、あなたが社会の中で生きていくために、
とても役に立ってきた能力です。

特に、
・間違えると厳しく指摘される環境
・失敗が許されにくい家庭や学校
・「ちゃんとしていること」を求められる場

そんな場所で育った人ほど、
「正解を見つけること」は、安心して生きるための大切な道具になっていきます。


2.感覚より先に、思考が動くようになった瞬間

本来、人はまず「感じる」存在です。

心地いい。
違和感がある。
好き。
嫌だ。

そうした感覚は、
頭で考えるよりもずっと早く、
身体や心の深いところで起こります。

けれど、ある時期から、
その自然な流れが止められていきます。

「それは正しいの?」
「そんなふうに感じるのは変じゃない?」
「ちゃんと理由はあるの?」

そう問い返され続けると、
心は学びます。


「感じる前に、考えたほうが安全だ」
「感覚より、正しさを優先したほうが受け入れられる」

こうして、感覚の上に、思考が覆いかぶさるようになります。


3.「正しい選択」をしてきたはずなのに、満たされない理由

真面目な人ほど、
「ちゃんと考えて選んできたはずなのに」
「間違ってはいないはずなのに」
と、心の奥で違和感を抱えることがあります。

それは、選択が間違っていたからではありません。


選択の基準が、
“自分の感覚”ではなく
“正しさ”だけになっていた

その状態が、長く続いていただけなのです。

正解を選んでも、
心が置いていかれてしまえば、
満足感は育ちません。

それでもあなたは、
「まだ足りないのは自分だ」
「もっとちゃんと考えなきゃ」
と、自分を責めてきたのかもしれません。


4.感覚を信じられなくなったのは、弱さではない

感覚を信じられなくなった自分を、
どうか責めないでください。

それは、あなたが弱かったからでも、
鈍かったからでもありません。


感覚を使わないほうが、
安全に生きられた時期があった

ただ、それだけのことなのです。

人は、危険を感じると、
自然と身体のセンサーを鈍らせます。

それは、心が自分を守るための、とても自然な反応です。


5.「正しさ」は、感覚を否定するものではない

ここで大切なことがあります。

「正しさ」そのものが、悪いわけではありません。

問題なのは、
正しさだけが、唯一の基準になってしまうことです。

本来、正しさと思考は、
感覚を支えるために使われるものです。

感覚を感じ、
思考で整理し、
現実に落とし込む。

その順番が、
いつの間にか逆転してしまっただけなのです。


6.感覚は、静かにしか語らない

感覚は、大きな声では語りません。

正解のように、はっきりした言葉も持っていません。

「なんとなく疲れる」
「理由はわからないけど、苦しい」
「説明できないけれど、違和感がある」

そうした、曖昧で頼りない形で、
私たちに語りかけてきます。

だからこそ、
正解を探す思考に慣れた人ほど、
感覚を「信用できないもの」として扱ってしまうのです。


7.感覚を取り戻すために、急がなくていい

感覚を取り戻そうとして、
「感じなきゃ」
「信じなきゃ」
と頑張る必要はありません。

感覚は、頑張ると、また隠れてしまいます。

必要なのは、
正解を探すのを、ほんの少し休むことです。

たとえば、
・理由を考えずに、好きな飲み物を選ぶ
・「どちらが正しいか」ではなく「どちらが楽か」で決める
・説明しなくていい時間を持つ

そんな小さな選択が、
感覚との再会になります。


8.よくある心のQ&A

Q1.正解を考えないと、不安になります。

A.
不安になるのは、長いあいだ正解が安心を支えてきたからです。
急に手放さなくて大丈夫です。

Q2.感覚に従って失敗するのが怖いです。

A.
怖さがあるのは自然です。
まずは「失敗しても影響が少ない場面」から試してみてください。

Q3.感覚が鈍っている気がします。

A.
鈍っているのではなく、静かになっているだけです。
安全を感じると、少しずつ戻ってきます。

Q4.考えすぎる自分をやめられません。

A.
やめなくていいのです。
考える力は、あなたの大切な一部です。
ただ、感覚の後ろに座らせてあげてください。

Q5.今さら感覚を取り戻す意味はありますか?

A.
あります。
感覚は、これからの人生を「あなたのもの」にしてくれます。


9.人生の終わりに、何を信じて生きたと言いたいか

人生の終わりに、
「正しかったかどうか」よりも、
「納得して生きたかどうか」を、
私たちは振り返るのかもしれません。

正解を探して生きた時間も、
あなたを守ってきた大切な時間でした。

これからは、そこに、
あなたの感覚を、少しずつ戻してあげてください。


10.カウンセリングという、感覚を取り戻すための場所

もし、
頭ではわかるのに、
感覚がついてこないと感じるなら、

カウンセリングという場も、
ひとつの選択肢です。

カウンセリングは、正解を探す場所ではありません。


感じてもいいことを、
少しずつ思い出していく場所

言葉にならなくても大丈夫です。
説明できなくても構いません。

あなたのペースで、
あなたの感覚が戻ってくるのを、
そっと見守る時間です。

どうか、ひとりで抱えすぎないでください。

Amazing Grace
内田梓